2025年9月版|新規民泊登録・廃業の動向と背景分析

2025.11.11民泊市場

新規民泊登録・廃業の動向

2025年9月現在、民泊業界では新規登録の増加と並行して、廃業の動きも続いています。

観光需要の回復や訪日外国人の増加が追い風となる一方で、法制度や収益性の壁に直面する運営者も少なくありません。

本記事では、国土交通省の最新統計をもとに、民泊の開業・廃業の動向とその背景を分析し、今後の市場見通しや運営者が備えるべき視点を整理します。

 

新規民泊登録・廃業の現状と推移

こちらでは国交省の公的統計に基づき、定点観測的に登録、廃業データを提示、最新動向について触れていきます。

出展:民泊制度ポータルサイト 住宅宿泊事業法の届出状況

 

登録・廃業数の最新動向

2025年9月16日現在、住宅宿泊事業の届出住宅数は累計55,377件となり、7月時点の53,133件から約2,244件の増加が確認されました。

一方、廃止届出住宅数は20,131件で、前回の19,515件より616件増加しています。

この2か月間での増加幅は、今年度内でも上位に位置する水準であり、引き続き事業者の新規参入と撤退が並行して進んでいる状況がうかがえます。

登録・廃業ともに毎月1,000件前後の動きが続いており、業界の流動性の高さを物語っています。

 

登録・廃業推移の傾向分析

住宅宿泊事業における廃業率は、2025年9月時点で約36.4%と引き続き高い水準で推移しています。

これは、累計55,377件の登録数に対して、廃止届出数が20,131件に上ることからも明らかです。

過去最多の新規登録件数を記録した7月と比較しても、今回の増加ペースはほぼ同等であり、民泊事業への新規参入の勢いが継続していることが示唆されます。

 

一方で、廃業の動きも依然として活発です。

民泊新法や旅館業法への理解不足、採算性の低さ、清掃・管理業務の外注コスト上昇といった課題が撤退理由として挙げられます。

また、都市部と地方、個人と法人といった事業者属性の違いによっても、登録と廃業の傾向には地域差・属性差が見られます。

 

2025年7月から2025年9月にかけての全国推移まとめ

全国推移まとめ

届出住宅数は約2,200戸増加

廃止届出住宅数は約600戸増加

 

背景要因の分析

2025年9月時点における民泊市場の動きには、いくつかの背景要因が影響しています。

まず制度面では、特区民泊や住宅宿泊事業法に関する規制強化・運用見直しの議論が続いており、事業者の動向に直結しています。

外部環境では、円安傾向が継続していることや訪日観光客数の回復基調が民泊需要を後押ししている一方、物価上昇や水道光熱費の増加は運営コストの圧迫要因となっています。

需要面では、主要都市を中心に夏季の観光需要が堅調で、インバウンド宿泊ニーズの取り込みが新規参入の動機となった可能性があります。

一方で、レビュー評価の低下や近隣トラブルによる営業停止など、運営の難しさも廃業要因として継続的に作用しています。

 

今後の市場見通しと運営者への示唆

今後の市場見通し

市場規模と供給動向

民泊市場は、観光需要の回復とインバウンドの増加を背景に、2025年も堅調に拡大しています。

国土交通省の発表によると、2025年9月時点の住宅宿泊事業(民泊)届出件数は55,377件と、過去最高水準に達しました。

これは2024年同月比でも1万件以上の増加となっており、民泊市場が再び活況を呈していることを示しています。

供給面では、大都市圏だけでなく、地方観光地でも登録件数の増加が確認されています。

特に、訪日観光客の滞在ニーズが多様化していることから、自然体験型・長期滞在型の民泊が増加傾向にあります。

また、法人運営による大規模物件の参入も目立ち、個人ホストとの差別化が課題となってきています。

一方で、供給過多に伴う競争激化も進行しており、エリアによっては稼働率や価格が下落するケースも見られます。

宿泊価格の値下げ競争や広告コストの増加など、収益面での課題も顕在化しています。

民泊市場の今後の成長は、単純な供給拡大だけでなく、質の高いサービス提供や地域との共存体制を整えるかどうかにかかっています。

物件数の増加が市場全体の成熟に結びつくかは、運営者一人ひとりの判断と工夫に委ねられています。

 

運営者が備えるべき視点

今後の民泊市場において運営者が求められるのは、「変化を先読みし、柔軟に対応する力」です。

特に2025年秋以降は、大阪市による特区民泊制度の見直しが注目されています。

大阪市は現在、特区民泊の新規受付停止を含む規制強化を検討しており、これが実現すれば、当該地域での新規参入は大きく制限される見込みです。

特区民泊に頼った運営を想定している事業者は、制度変更の影響を正確に把握する必要があります。

変動の激しい制度や市場環境の中で、運営者にとって最も重要なのは「情報収集」と「即応力」です。

自治体の方針や法令改正に常にアンテナを張りつつ、柔軟な事業戦略を描くことが、持続可能な民泊経営の鍵となるでしょう。

 

【9月の特集】東京や大阪などで規制の流れ

2025年9月時点において、東京や大阪といった大都市圏では、民泊に対する新たな規制の動きが顕在化しています。

特に注目されているのが、大阪市が検討中とされる特区民泊の新規受付停止です。

これが正式に決定されれば、全国の自治体に波及する可能性もあり、事業者にとって無視できない制度改定となります。

背景には、住宅地域における住民とのトラブル増加や、地域コミュニティとの摩擦、無許可営業の横行などが挙げられます。

これにより、自治体は安全性と秩序を確保するため、民泊運営のハードルを再び引き上げる方向に動いています。

 

一方、東京都ではすでに条例により、住宅宿泊事業(民泊)の営業日数や運営条件を厳格に制限しており、今後も見直しが進む可能性があります。

また、観光需要の集中によるインフラ負荷の懸念から、一部地域では「観光客の受け入れ上限」や「滞在ルールの厳格化」といった議論も進んでいます。

 

こうした規制強化の動きは、事業者にとってリスクであると同時に、品質を重視した優良施設が選ばれる市場形成への一歩とも言えます。

今後の民泊運営では、地域と共存する姿勢と、法令を遵守した誠実な運営がいっそう重視されていくでしょう。

 

おわりに

2025年9月時点の民泊市場は、新規参入と廃業が交錯しながらも、引き続き成長の兆しを見せています。

一方で、特区民泊の受付停止検討など、制度面での見直しも進んでおり、運営者は情報収集と柔軟な対応が求められます。

市場の変化を的確に捉え、地域との共生と法令遵守を前提とした運営を行うことが、これからの民泊成功の鍵となるでしょう。

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榊原 啓祐
ハウスクリーニングや壁紙再生事業でフランチャイズ本部事業等を立ち上げ、僅か5年で400店舗以上を出店。民泊事業には2015年8月に参入し、現在では民泊運営と共に、リゾート地での貸別荘もスタート。ハウスクリーニングの経験から、民泊清掃の第一人者でもあり、これからの民泊業界を牽引する若き経営者。